令和5年度第2回 第61回気象予報士試験 実技2 問2

気象予報士試験の過去問とその模範解答は一般社団法人気象業務支援センターにて過去5年分(10回分)が公開されています(http://www.jmbsc.or.jp/jp/examination/examination-7.html

問題文や図、模範解答などはそちらから入手してください。図や問題文等の引用は気象業務支援センター様にご了承いただき掲載しています。

また、模範解答以外の考察等の内容は全て私見です。気象業務支援センターの見解ではありませんのでご注意ください。

①などはPC上の表記の関係で[1]と記載しています。

問1はこちら

問2 (1)

領域A:雲頂高度はやや高いが、降水はほとんどない(弱い)。

領域B:雲頂高度は低いが、強い降水域が分布している。

領域C:雲は団塊状で雲頂高度は高く、雲域より狭い範囲に、非常に強い降水域が線状にのびる。

「領域ごとの違いがわかるように」記述するという問題文の指示に従うことが重要です。ただこれを試験時間が限られた中で資料を解析して書き切るのはなかなか難しいですね。

私はとにかくA、B、Cで雲頂高度と降水強度の順位を決めて解答することにし、以下の通り解答を作成しました。

まず図7の赤外画像は、「領域A:明るい、領域B:やや明るい、領域C:非常に明るい」と判断、したがって雲頂高度は「領域A:高い、領域B:相対的に低い、領域C:極めて高い」

次に図9のレーダーエコー図を確認すると「領域A:降水はない、領域B:局地的に強い降水、領域C:線状に非常に強い降水」となりました。「強い」と「非常に強い」と書いて結果的に正解でしたが、レーダーエコー図の最大強度を見て1時間雨量の雨の強さの表現(非常に激しい雨、猛烈な雨 など)を用いたら減点かもしれませんね。

また、雲域Cについては加えて「雲域と降水域それぞれの 形状、雲域と比較した強い降水域の広がり」についても言及する必要があります。エコー図から強い降水域が線状になっているというのは比較的わかりやすいですが、雲域はあまりいい言葉が浮かばず、ただ確実に積乱雲によるものであると考えると団塊状が良いかなと思いました。降水域の広がりも「広がり」と聞かれているので素直に狭いか広いと答えれば良いので「狭い」、になります。

したがって私の答えは

領域A:雲頂高度は高く、降水はない。(14字)

領域B:雲頂高度は他と比較し相対的に低いが、局地的に強い降水域がある。(31字)

領域C:団塊状の雲で雲頂高度は極めて高い。降水域は線状で非常に強く、雲域より狭い。(37字)

となりました。領域Bの雲頂高度を「低い」と言い切るのは躊躇してしまいますが、ここは衛星画像の読解能力不足ということでしょう。領域Aは文字数を考えると何か不足しているだろうとは思いましたが、これ以上考えるのを諦めました。高い→やや高い、降水はない→降水はほとんどない、でどれくらい減点されるのかな・・・。とにかく違いが分かるように、じぶ

(2)北緯:32 東経:124(125)

東シナ海の強い対流性降水って多分この赤二重丸で囲ったところですよね?

で、周囲 200kmということは衛星画像で緯度10°の1/3くらいの長さの半径でコンパスを使用したらいいんだと思います(赤外画像の赤丸)。ちなみにエコー図と縮尺異なるので目分量で合わせています。すると最も白く写っているのが黄緑の線で囲ったあたりになるので、北緯:32 東経:124(125)付近ということになるのでしょう。

(3)[1]920hPa[2]300hPaより上

親切に拡大図が載っているのでこちらを使いました。20hPa刻みなので920hPaですね。

浮力がなくなる高度=雲頂高度ですので、先ほどの自由対流高度の点から、上空に向かって湿潤断熱線と並行に延ばします・・・が、湿潤断熱線は曲線なのですが、試験中にそこまでしっかりと描く余裕はありませんから、660hPa付近の位置(下の図で赤枠で囲ったところ)で接するかどうかを確認できれば十分だと思います。この辺りの効率化は解答時間短縮のため必須だと思います。

接しませんので、解答は指示通り「300hPaより上」と記述します。

[3]全般に西南西の風で、700hPa付近で50ノットと最も強くなっている。

見たままに答えます。710hPaあたりに50ノットの風速の極大点があり、風向はほぼ西南西です。模範解答に近い答えが書けるでしょう。

問2も模範解答をみてしまうとそんなに難しいことを出題されているわけではないですが、初見の問題で、限られた時間の中で求められる解答を作成するのはなかなか難しいですね。気象予報士試験対策として忠実に「問題文の指示通り解答する」ということが重要だと再考させられる問題でした。最低限エマグラムの問題で確実に得点できるようにはしておかないと合格点を取るのは難しいかもしれません。

問3はこちら

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